星がこぼれる

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はぁ。 本日数度目にもなる溜め息をつく。 無理もない。 今回は割と長引いている隣国との戦争のせいで、心も体も疲労がたまっているのだ。 この国では昔から戦争が絶えない。 18を過ぎた男達は兵として駆り出され、日夜訓練に明け暮れる。 兄さんと僕も18を過ぎ、当たり前のように隊に配属されたのはもう2年も前の話である。 「おい、ヨウ」 声の方を振り替えると兄さんがいた。 「今日はお前の番だよな?」 「あぁ、今日は僕が行くよ」 2つ上の兄さんはいつも申し訳なさそうに苦笑したような顔をつくる。 「悪いな……あとな、あの…話の続きを聞きたがってたから…」 「分かってるよ。一昨日の晩も言ってたのに僕が、明日な、って言っちゃったから……」 「ははっ……」 兄さんは小さく笑うと僕の肩を軽く叩いた。 「俺が……もう少し時間を作れればなぁ……お前にも楽させられるのに……」 「大丈夫だよ、兄さん。じゃあ…仕事頑張って……」 夜間警備…兄さんの隊はは2日に1回夜通しで見回りをする。 僕と兄さんは交互に彼女の部屋に向かう。 今日は僕が、明日は兄さんが。 彼女を寝かしつけるために、独りにしないように。
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