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いつからなのか、自分にはよく分からないけれど、私は普通の子より目が悪い。
見えるもの全てがぼんやりとしていて、細かったり小さかったりするものは、そこにあるのかどうかさえ分からない。
お父さんは、目の悪い私をあまり外に出させようとしない。
だから私は1日のうちのほとんどをベッドの上で過ごすのだ。
暗闇の中で天井を見つめてみる。
明るくても暗くても、天井がどれだけ高いのかと言うことを私は知ることができない。
真っ直ぐ上に手を伸ばし空を掻いてみても、何も捕まえることはできなくて、伸ばした手は行き場を無くし、ストンと毛布に受け止められた。
はぁ。
ため息をついて目を閉じる。
真っ暗の部屋の中にいる時は目を閉じた方が寧ろ明るい気がする。
瞼の裏でチラチラする光は、それに焦点を合わせようとすると、目の端に逃げて見えなくなってしまった。
星。
頭の中に1つの言葉が浮かび上がる。
星ってこんな感じなのかなぁ。
お父さんの話してくれたお話で星の話はたくさんあった。
窓の外に目を向けても星がどれかなんて分からなくて、辛うじて認識できる月も形までは分からない。
空想の中のまばゆい光に想いを馳せた。
昔々。
お父さんの言葉を思い出す。
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