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6限終了を告げるチャイムと同時に、回想中だった思考が現実世界に戻った。ピントが黒板に書かれた世界史用語の羅列に合う。………どうしてこんな回想に走ってたんだか。
幸い、世界史の先生は生徒が寝てようが咎めない人なので、何も言われずにすんだ。凄まじい量と密度の板書は………誰かに後で写させてもらおう。
「白野、どうかした?」
礼を終えると、すぐに田崎が声をかけてきた。思考が追いつかず、とりあえず言葉を繕う。
「え、………ああ、いや、どうもしないけど?」
「そう?ペン握ったまま動かなかったから、なんかあったんかと………」
「そんなのいつものことだろ、気にすんな。………それより田崎、おま、前歯に青海苔ついてる」
え、まじかよと口をおさえる田崎。いつも通りだと付け加えてから会話を断ち切り、ロッカーに荷物を置きに行った。
(掃除して帰宅だな……………あれ?)
クラスメイトは誰ひとりとして帰る準備をしない、会話していたり、携帯をいじっていたり、黒板を写したりと各々思い思いのことをしてる。
なんだ、次はLHRか。
予想外の7限。
(かったる………………)
気力を削がれて寝たくなった、しかし机に戻っても友人の対応が億劫だったので、仕方なく屋上でサボタージュすることにした。
あくまで、仕方なく、だ。
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