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掴まれた手を振り払った。 すると、パトカーの前に立っていた男が言った。 『人を殺して…罪が消えるとでも思ってるんですか? 詳しい事情は署でお聞きしますので』 再び掴まれる腕。 女の額に汗が滲む。 「いや…いやよ!もうわたしは自由になったのよ! あんたたちにわたしを捕まえる権利はないわ!」 警察は、やれやれという風にため息をついて、女に告げた。 女の顔が驚愕の色で染まる。 意識は、そこで途切れた。 「あああああっ!」 しかし、女の叫びは、閑静な住宅街に響いた。 乗せられたパトカーのラジオから、抑揚のない女性の声が流れる。 ゙―――殺人の時効を廃止する法案が成立しました。 なお、詳細につきましては――――゙ ワタシハ、ワルクナイノニ。 fin.
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