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後ろから下品な笑い声が近付く。 『だっせー!転んでやがんの!』 『うはは!おねえさん、普段運動してないっしょー?』 すぐに起き上がろうとするが、焦りと恐怖で体に力が入らない。 じたばたもがいてるうちに、誰かが女の背中に乗った。 「いや…!」 ロングコートに手をかけられ、必死に力を込めて抵抗する。 しかし、数人の男相手にかなうわけもなく、いともたやすくコートを脱がされてしまった。 肌に当たる暖かい風が、今は不快で仕方ない。 「やめて!やだ…!」 『はいはい、静かにしましょーねー』 男の一人が、女の口に布を詰め込む。 「んんー!んー!」 仰向けに転がされたとき、手に何かが当たった。 女は、無我夢中でそれをつかみ、目の前の男に向かって振り下ろした。 べこっ… 鈍い音。 飛び散る、赤。 女に跨っていた男は、悲鳴すら上げず横に倒れた。 .
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