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一瞬の静寂。 破ったのは、男の声。 『おい、これ…』 『やべーんじゃねえの…?』 男達は、唖然としている。 血で染まった、女の顔を見ながら。 女は、自分の手を見る。 握られてるのは、少し尖った石。 ゆっくりと立ち上がる。 口の中から布を取り出す。 男物の下着だった。 女の視線が、二人の男に向いた。 『ひっ…!?』 正気ではない女の、目。 慌てて逃げ出そうとする男に向かって、二度目の凶器を振り下ろした。 すでに横たわっている男と同じように、その場に崩れ落ちる男。 もう一人の男は、目を大きく見開いて震えていた。 女が見る。 男が動く。 女が投げる。 男に当たる。 上がる血しぶき。 女は、しばらく佇んだ後、ゆっくりとその場から立ち去った。 .
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