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ドアノブの回る音。 え? まさか…。 残り…30秒。 「おい、あさみ!そこじゃねえぞ」 ドアは、開かなかった。 「ごめーん!間違えちゃったあ!」 「気をつけろよな。隣のおばさん、なんか暗くて不気味なんだから」 「えー、やだ、怖~い」 確実に酔っ払っている女の声と、隣に住む男の声。 いつの間にか乱れていた呼吸を整えて時計を見ると、秒針は3のところまで回っていた。 女の目から涙が溢れる。 終わった。 終わったんだ…。 これで、自分の罪は消えた。 明日は、一番にあそこへ行こう。 25年前のあの日、本当は行くはずだったあの場所へ。 女は、涙が枯れるほど泣きながら、眠りについた。 .
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