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「はい。はい。今、愛知にはいるんですけど……。いえ、大丈夫です。はい。……すぐ行きます。」
松田さんは、ケータイを切ると、恵梨に聞いた。
「最近の、美知代のこと何か知ってるか?」
「え?ここ数年、連絡取ってないけど……。どうかしたの?」
恵梨は言った。
「いや…。大したことじゃないけど…。まぁ、とりあえず、俺、行って来るから。戻ったら連絡するから。」
松田さんは、そうは言っていたが、どこか青ざめているように感じた。
そして、松田さんは、去って行った。
その後、私たちは、水族館を見て回り、おもちゃランド、バンジージャンプ、恐竜ランドなどで遊んだ。
洋服や雑貨などを販売するフロアもあり、ショッピングも存分に楽しんだ。
夜には盛大な花火も上がった。
花火も終わり、私は、部屋に戻った。
お部屋の露天風呂に入り、テレビを見ながら、ジュースを飲み、一息ついていると、
ドンドンドンッ!
部屋のドアをノックする音がした。
時計は、夜の10時をまわっている。
ドアに近づくと、
「紗胡~!紗胡~!ここを開けろ~!」
呂律の回らない大きな声がした。
ドアの小さな穴から覗いて見ると、酷く酔っ払った松田さんが立っていた。
私は、ドアを開けた。
と、突然、松田さんは、抱きついて来た。
「ちょっ、ちょっ、ちょっと……。」
私は驚いて、声にならない声をあげていた。
「あ~。紗胡ちゃんだぁ。かわいい紗胡ちゃんだぁ。紗~胡ちゃん。紗~胡ちゃん。」
と、松田さんは、私に抱きつき項垂れながら言った。
私は、何とか、彼をソファーまで運び、ソファーに座らせ、彼に、水を持って来て渡した。彼は、それを一気に飲み干し、ソファーに寄りかかり目を閉じた。
「立ってないで、座れば~?」
彼は目を閉じたまま言った。
私は、彼から少し離れて座り、再びジュースを飲みながら、テレビを見始めた。
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