旅行最終日

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彼は、寝ているのか、ずっと、目を閉じたままだった。 30分ぐらいして、彼は動き出し、千鳥足で、トイレに立った。 支えようかと思って、私も立ったが断られたので辞めた。 しばらくして、彼は戻って来て、再び、ソファーに座った。 そして、次の瞬間、私に抱きついた。私の首に彼は吸いついた。私は、彼を突き放し、逃げるように、ソファーから降り、床に座り込んだ。 しかし、今度は、彼は私の上に覆い被さり、私の頭の横の床に両手を着いた。 私の目には涙が溢れていた。私は、彼を見つめるも、涙は止まらずに流れ続けていた。 彼は、私の唇に、自分の唇を重ねたが、すぐに離れ、 「……ごめん……。俺……。」 そして、自分の寝室の方に消えた。 私は、起き上がり、でも、床に座ったまま動けず、泣き続けていた。 数分して、松田さんは、戻って来た。 そして、彼は、今度は後ろから、私を抱きしめた。さっきと違い、今度は、優しい感じで、私は、ドキドキドキし始めていた。 「はぁ……ごめん……。俺……。はぁ……。ごめん……。」 彼は、その言葉を、何度も繰り返しては、私の頭を撫で、涙を拭う。私達は、しばらく、そのまま、過ごしていた。 しばらくして、私の涙は止まり、私は、松田さんの顔を見上げた。 彼は、 「……ごめん……。」 と言った。 私は、切なくなって、正面に向き直り、右手で彼の右手を握った。 きっと、何かがあったんだろう。彼を狂わす何かがあったのだと私は、思っていた。 が、次の瞬間、彼は離れた。 「俺…、そろそろ寝るわ……。」 彼は、部屋の方に向かい始めた。 「待って……。」 私は言った。 「どうかしたの?何があったの?」 彼は立ち止まるが黙っていた。再び、歩き始めた。 「何かあったんでしょ?話して?何もないのに、こんなに乱れるなんておかしいでしょ!」 「君には関係ない!」 彼は強い口調で言った後、再び、落ち着きを取り戻し、 「……ごめん……。」 と言い、部屋に入ろうとした。
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