9人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
彼は、寝ているのか、ずっと、目を閉じたままだった。
30分ぐらいして、彼は動き出し、千鳥足で、トイレに立った。 支えようかと思って、私も立ったが断られたので辞めた。
しばらくして、彼は戻って来て、再び、ソファーに座った。
そして、次の瞬間、私に抱きついた。私の首に彼は吸いついた。私は、彼を突き放し、逃げるように、ソファーから降り、床に座り込んだ。
しかし、今度は、彼は私の上に覆い被さり、私の頭の横の床に両手を着いた。
私の目には涙が溢れていた。私は、彼を見つめるも、涙は止まらずに流れ続けていた。
彼は、私の唇に、自分の唇を重ねたが、すぐに離れ、
「……ごめん……。俺……。」
そして、自分の寝室の方に消えた。
私は、起き上がり、でも、床に座ったまま動けず、泣き続けていた。
数分して、松田さんは、戻って来た。
そして、彼は、今度は後ろから、私を抱きしめた。さっきと違い、今度は、優しい感じで、私は、ドキドキドキし始めていた。
「はぁ……ごめん……。俺……。はぁ……。ごめん……。」
彼は、その言葉を、何度も繰り返しては、私の頭を撫で、涙を拭う。私達は、しばらく、そのまま、過ごしていた。
しばらくして、私の涙は止まり、私は、松田さんの顔を見上げた。
彼は、
「……ごめん……。」
と言った。
私は、切なくなって、正面に向き直り、右手で彼の右手を握った。
きっと、何かがあったんだろう。彼を狂わす何かがあったのだと私は、思っていた。
が、次の瞬間、彼は離れた。
「俺…、そろそろ寝るわ……。」
彼は、部屋の方に向かい始めた。
「待って……。」
私は言った。
「どうかしたの?何があったの?」
彼は立ち止まるが黙っていた。再び、歩き始めた。
「何かあったんでしょ?話して?何もないのに、こんなに乱れるなんておかしいでしょ!」
「君には関係ない!」
彼は強い口調で言った後、再び、落ち着きを取り戻し、
「……ごめん……。」
と言い、部屋に入ろうとした。
最初のコメントを投稿しよう!