旅行最終日

6/12

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
咄嗟に、私は、彼の手を掴んだ。 彼は、驚いて、振り向いた。 私は、自分が何をしてるのか分からなくなっていて、彼の手を離し、思わず顔を伏せた。しかし、何か話さなきゃと、必死で口を開いた。 「……話してよ。私は、何があったか、知りたいの。松田さんのこと、もっと知りたいの。恵梨と、なんで仲が良いのかとか、美知代さんって誰なのかとか、もっと知りたいの。松田さんのこと、もっと知りたい……。」 自分で何を言ってるのか、何が何だかわけわからなくなっていた。 ふと気付くと、私は、彼に抱きしめられていた。 「……分かった……。話すよ……。」 彼はそう言い、離れ、ソファーに座った。 私も続いて、ソファーに座った。 「……恵梨は、俺の幼なじみの勇太って奴がいて、そいつの妹だ。幼なじみっても、従兄妹でもあるんだが……。」 と、松田さんは、話始めた。 「高校の頃、付き合ってたのが、美知代だ。あの頃は、勇太と恵梨と美知代と4人で、よく、つるんで遊んでた。高校卒業して、俺は上京したけど、彼女は、美知代は、両親の反対で愛知を出れずで、でも、しばらくは、遠距離恋愛はしてたんだけど、俺も遊ぶようになって、彼女とはなかなか会う回数も減り、そのうち、彼女に、男が出来て、上京して2年で別れた。翌年、美知代は、子供が出来て、結婚した。俺も彼女と別れてから、それなりに、長続きはしなかったが、常に女はいた。8年ぐらい前、美知代と偶然にも再会した。彼女は、友達の結婚式とか言って、東京に来てて、その帰りで、その晩は、近くのホテルに泊まって、次の日帰ると、バーで飲んでいたんだ。お互い、懐かしく、話も盛り上がり、酒も飲み過ぎた。次の日、彼女は、俺の部屋のベッドの中にいた。その後、彼女は、何もなかったかのように帰ったんだが、1週間ぐらいして、彼女から、会いたいと電話が来るようになった。最初は、断っていたんだが、俺もその時、付き合っている女はいなかったから、会うようになっていった。もちろん、身体の付き合いも……。2年ぐらいした頃、恵梨にばれて、説得された。俺も、やはり、不倫を続けるのは良くないと、彼女に別れを告げた。それ以降は会わなかったが、彼女からは、度々、電話が来ていた。ある日、彼女の旦那から電話が入った。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加