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トイレから出ると、松田さんがこっちに向かってきていた。
松田さんと目が合う…。私は、どぎまぎしていたが、
「松田さん…。来てたんだ…。最近…、どう…?」
と、話しかけた。
「洋昌…?どうしたの…?急に止まっ…」
と、松田さんが答える間もなく、松田さんの影から、小柄の可愛いらしい女の子が顔を出し、私を見ると、軽く頭を下げた…。
私も、軽く会釈はしたが、混乱し居たたまれなくなり、
「じゃぁ…また…」
と言って、私はその場を離れた。
恵梨は、あちこちお酌に回り楽しそうにしている。
仕事も溜まってるし、また明日、朝早く出勤しなくちゃならないため、私は、帰ることにした。
しかし、上着を国分さんの隣の席に忘れてきたことに気付く。仕方なく、私は取りに戻ることにした。
戻る途中で、私は、座布団につまづいてしまった。
「キャッ!…。」
誰かに倒れかかる。そして、抱き寄せられた。
「…すみません…。」
離れようとしたが、離れられない。しかし、何だか首すじに柔らかい気持ち悪いものを感じる…。ふと、横に目をやると、私の上着があった。
……国分さんだった…。
私を抱き寄せたのは、国分さんで、首すじに感じる気持ち悪いものは、国分さんが私の首すじに吸いついていたのだ。
私は、一生懸命もがくも離れられず、国分さんの唇は、耳まで上がって来た。
「…根岸さん…、ちょっと話があるんだけど…」
松田さんだった…。
「今、取り込み中なんだけど。後にしてくれない?」
と、国分さん。
松田さんは、お構い無しに、私を国分さんから離すと、私を外に連れ出した。私は、慌てて上着を持ち、松田さんの後を着いていった。
気付くと、私の目からは涙が溢れており、私は、松田さんに抱きしめられていた。
「洋昌…待って…。」
さっきの女の子の声がした。私は、慌てて、松田さんから離れた…。
私は、涙を拭い、
「…ごめんなさい…。私…。…っていうか、話って…。」
松田さんに背を向け、聞いた。
「…嫌だったんじゃないの?…ずっと、嫌がってたんじゃないの…?」
松田さんは、言った。
「…それは…。」
私は、振り向くと、女の子が目に入り、長くは話していられないことに気付く…。
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