出会い

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なんだかんだ言って、時間が経つのは早く、 旅行にすでに出発している。 バス班、列車班、新幹線班、専用車(リムジン)班と分かれており、私たちは列車班だった。 私は、トイレに行こうと通路を歩いていると、誰か社員の子供らしく、走り回っていた。その子供とぶつかり、近くにいた、30前後の男性に倒れ込んでしまった。よりによって、その日は、私は、胸元のザックリ開いた谷間もよく見える服を着ていた。胸を触られているのに気付き、驚いて離れると、今度は、胸元に顔を埋め、谷間の辺りにキスをしてきた。 「キャッ~!」 そう言って、私は、彼を突き放すと、通路に倒れ込んだ。 「パンツ見えてるよ。」 彼は、ニヤリと笑って私の顔を覗き込んだ。 彼は、会社でも、ベスト5に入るイケメンくんだ。松田洋昌(ひろあき)。33歳。服飾営業部だ。 部署が近いこともあり、よく姿を見かけることはあったが、実際、話したことはない。 「急に倒れ込んで来て…、俺を誘惑したいわけ?」 彼は、意地悪そうに言った。 何!コイツぅ~!信じらんなぁ~い!さっきの驚きから、声が出ず、言い返すことも出来ず、私は唇を噛みしめた。私の目には、先ほどの驚きから、涙が滲んでいた。しかし、こんな近くでイケメン面で覗きこまれると、悔しいがドキドキしてしまう。滲んでいた涙が瞬きで流れた。 「松田~?また、女泣かせてんの~?」 松田さんの隣に座っていた男が声かけた。 「違っ!コイツが俺を誘惑……。」 と、松田さんは、急に立ち上がり言おうしたが、私を見て、辞めた。 私の目からは、次々と涙が流れていた…。 「あ…。どうしたんだろ…。ごめんなさい…。あの、倒れ込んじゃってごめんなさい…。」 とりあえず、私は、倒れたことを謝り、立ち去った。 サイアク!何なのあの人!いくらイケメンだって、いくらモテるからって、サイテー!!
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