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断ったが、結局、彼は私の仕事を手伝ってくれることになった。
営業部に配属なる前は、彼も、この課で働いていたみたい。
さすがに、手際よく、次々と仕事が進んだ。
オフィスには、彼と私しかいない、シンとして二人きりの空間。私は、ドキドキが止まらなかった。
2時間くらいしたころ、ふと彼を見ると、彼は疲れたのか、寝息をたてていた。
思わず彼の寝顔にドキッとしてしまう私…。
イケナイイケナイと、我に戻り、仕事を続けた。
私は、机の下の資料を探し始めていた。その資料はなかなか見つからず、探し始めてからしばらく経っていた。
「何探してんの?」
彼の声がし、驚いて振り向くと、彼もしゃがみ込んでいた。チョー至近距離。ドキドキが止まらない……。
ドキドキを隠しながら、私は答えた。
「はぁ…びっくりした……。驚かせないでよ…(笑)ちょっと資料探してて…。」
「もしかして…これ…?」
彼は手に資料を持っていたが、私が確認しようと手を伸ばすと、彼は、資料を持っている手を高く上げた。
次の瞬間、彼は、私の顎を引き、キスをした。
最初は何が起きたのかわからなかったが、気付いた時には、彼はもう私から離れており、
私が、
「何する……」
と言いかけると、
「フハハハハ…(笑)フハハハハ…(笑)相変わらず面白いヤツ…(笑)」
と、彼は大笑いし始めた。
パシンッ!
気付くと私は、彼をビンタしていた。
「冗談なの…?どうして…どうしてそういう事出来るの…?彼女じゃないの…?夕方のあの子、彼女なんじゃないの…?サイテー!」
私は、上着とバックを持ち、抜け出した……。
残された彼は、
「勝手に決めんなよな…。クソッ…。」
と言い、床に伸びていた。
私は、自分のアパートの傍の公園まで走り付き、息を切らしていた。
はぁ…。ベンチに座り、もう会社に戻る気力は失っていた。
「はぁ…。手伝ってくれたのに…。私…。」
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