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「いや…。それより、課長には言ってあるから、今日は帰って休め。俺、これから営業出るから、ついでに送るよ。」
彼は、そう言って、自分の車に私を乗せ、送ってくれた。
が・・・。
ここどこ?私のとこのアパートじゃないし・・。
「…え?ここは…。」
「さ…、降りて。あまり時間ないし…。」
仕方なく、私は黙って彼に着いていく…。うわぁ…高そうなアパート?マンション?
5階建ての新しい雰囲気の建物だ。
3階の端の部屋のところで、松田さんは玄関の鍵を開けようとしている。
鍵持ってるってことは、ここは、松田さんのうち?
中に入ると、男性のわりには、けっこうキレイに片付いていて、白と黒で統一されていて、けっこうオシャレな雰囲気である。間取りも結構広く、3LDKらしい。
「ここは、お客さん来た時に泊める部屋だから、今は、ここで休んでて。後で家まで送るから。」
と言って、松田さんは部屋から出て行った。
10分ぐらいして、彼は戻って来た。私のために玉子粥を作ってくれたらしい。
「お昼まだでしょ?残ってたご飯で作ったやつだけど…。」
照れくさそうに彼は言った。
「…ありがとう。」
そして、彼は、急に私の顔を覗き込んで、自分のおでこを私のおでこに当てた…。
ドキッ…として、私の頬は急速に熱くなるのが分かった…。
「まだ…熱あるな…」
彼は、次に私の髪を撫でながら、今まで見たことのない笑顔で、
「じゃ…、俺、仕事戻るから、ゆっくり休んでて…」
と言って、彼は部屋を出て行った。
私は、強く高鳴る鼓動を抑えるのにやっとで彼の言葉に頷くしか出来なかった。
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