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すると、突然、彼は私を抱き寄せた。
「…ごめん…。少し、こうさせて…。」
「…ま…ま…松田さん…?」
私は、身動き取れずしばらくそのまま動けずにいた。ドキドキ苦しくてどうしようもなかった。
しばらくして、彼は私から離れ、
「夕食作るから待ってて。」
そう言って、彼は、キッチンに向かった。私も手伝うと言ってみたが、休んでるようにと言われ、彼に任せることにし、私は、リビングのソファーに腰かけ待っていた。
待っている間、時折、彼が気になり、彼の様子をチラチラッと伺う。やはり、彼は男前。ちょっとした仕草にもドキッとしてしまう。
そんな彼から目が離せなくなる私。
彼を好きだという気持ちに気付き始めていた。
料理が出来上がり、彼が作ってくれたのはシチューだった。
食べている間も、ドキドキは収まらず、上手く話題が見つからず、無言となってしまう。
彼は食べ終わり、立ち上がると、
「今日は、そのまま、あの部屋でゆっくり休むと良い。明日の朝、家まで送るよ。」
そう言うと、自分の部屋なのだろうか、部屋に入って行ってしまった。
私は、食器を洗い終え、彼は明日送ると言ったけれど、やはりそうはいかないと思い、彼に帰ることを言おうと思い、彼の部屋をノックする。
彼が部屋から顔を出し、私は、
「あの…、私、やっぱり…」
と言いかけた所で、彼の部屋の奥の方に見えた夜景に感嘆し、思わず声を上げてしまう。
「何、この夜景!!」
部屋の向かい壁一面がガラス張りとなり、夜一面に映る夜景は綺麗なものであった。さすがは、社長息子。
「あ…、入って見る?(笑)」
彼は鼻で笑い、私を部屋に入れた。
私は窓に駆け寄り、窓に寄りかかるように夜景を覗き込む。どうやらそこは開く所だったらしく、私が寄りかかった途端、カチャと開く音がした。
「そこ、開くから危ないよ。」
と、彼は、私の両腕を後ろから抱え込むように押さえた。
「綺麗だろ…。」
彼の吐息が私の右耳にかかり、くすぐったい。
私はドキドキが抑えられなくなり、咄嗟に彼から離れ、その部屋を飛び出し、昼間、休ませてもらっていた部屋に逃げ込み、ドアを閉めるとそのまま、ドアの前にしゃがみ込んだ。
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