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私は、いつの間にか寝てしまったのか、朝、目が覚めると、そのままドアに寄りかかって寝ていた。
部屋から出ると、彼はもう起きており、何もなかったかのように、私に朝ごはんを出し、アパートまで送ってくれた。
数日後、恵梨に合コンに誘われ、仕事終わると、会社の近くのカラオケボックスに来ていた。しばらくすると、恵梨の彼氏の野田さんと松田さんが入って来た。
松田さんと目が合い、ドキッとする私…。私は、松田さんに話しかけることも、近くに行くことも出来ずにいた。しばらくして、松田さんは、
「やっぱ、今日は帰るわ。」と言って、部屋を出て行った。
私は、このままではと思い、彼を追いかけた。
フロント近くのプレイルームのあたりで、松田さんに追いつき、
「ま…松田さん!」と声をかける。彼は、振り向き、立ち止まった。
私は、近づき、
「こないだは…、ありがとうございました。」
と、こないだのお礼を言った。
彼は、あぁ…とだけ…。
沈黙―。
―――アゥ アゥ アゥ…やめて…ゆうき…こんな所で…アゥ…ン…アゥ…―――
近くで、カップルがイチャついてるんだろうか、女の子の声が聞こえていた―――。
ヤだ…。こんな所で…。と思いながら、私は、何か話さなきゃと思い、口を開く…。
「あの…あの…、もう…帰っちゃうの…?」
――ア…ア…ウ…アゥ…アン…――
「俺が帰ったら、どうかするの…?」
「え…。と…。」
相変わらず、冷たい口調…。
―アゥ…アゥ…アゥ…アゥ好き…ゆうき…好き…アゥ…ハゥハゥハゥ…ン―――
私は、答えられずに、どうしようかとうつむいていると、
突然――。
松田さんが私を抱きしめた…。そして、そのまま、私にキスをした…。
「紗胡~?紗胡~?紗胡~?」
恵梨の呼ぶ声がした。
そして、彼の口唇が離れる…。
人の気配…。
「…ちょっ!…紗…胡…?」
「あんたたち……。」
「…俺…。帰るわ…。」
松田さんは、何もなかったかのように、店を出て行った…。
「ちょっと、紗胡?あんたたち、いつの間に?ねぇ?教えてよ~。」
恵梨は、嬉しそうに話かけてくる…。
私は、我に戻り、恵梨には、
「後で話す…」とだけ言い残し、
彼を追いかけた。
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