最終章

2/3

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
私は、いつの間にか寝てしまったのか、朝、目が覚めると、そのままドアに寄りかかって寝ていた。 部屋から出ると、彼はもう起きており、何もなかったかのように、私に朝ごはんを出し、アパートまで送ってくれた。 数日後、恵梨に合コンに誘われ、仕事終わると、会社の近くのカラオケボックスに来ていた。しばらくすると、恵梨の彼氏の野田さんと松田さんが入って来た。 松田さんと目が合い、ドキッとする私…。私は、松田さんに話しかけることも、近くに行くことも出来ずにいた。しばらくして、松田さんは、 「やっぱ、今日は帰るわ。」と言って、部屋を出て行った。 私は、このままではと思い、彼を追いかけた。 フロント近くのプレイルームのあたりで、松田さんに追いつき、 「ま…松田さん!」と声をかける。彼は、振り向き、立ち止まった。 私は、近づき、 「こないだは…、ありがとうございました。」 と、こないだのお礼を言った。 彼は、あぁ…とだけ…。 沈黙―。 ―――アゥ アゥ アゥ…やめて…ゆうき…こんな所で…アゥ…ン…アゥ…――― 近くで、カップルがイチャついてるんだろうか、女の子の声が聞こえていた―――。 ヤだ…。こんな所で…。と思いながら、私は、何か話さなきゃと思い、口を開く…。 「あの…あの…、もう…帰っちゃうの…?」 ――ア…ア…ウ…アゥ…アン…―― 「俺が帰ったら、どうかするの…?」 「え…。と…。」 相変わらず、冷たい口調…。 ―アゥ…アゥ…アゥ…アゥ好き…ゆうき…好き…アゥ…ハゥハゥハゥ…ン――― 私は、答えられずに、どうしようかとうつむいていると、 突然――。 松田さんが私を抱きしめた…。そして、そのまま、私にキスをした…。 「紗胡~?紗胡~?紗胡~?」 恵梨の呼ぶ声がした。 そして、彼の口唇が離れる…。 人の気配…。 「…ちょっ!…紗…胡…?」 「あんたたち……。」 「…俺…。帰るわ…。」 松田さんは、何もなかったかのように、店を出て行った…。 「ちょっと、紗胡?あんたたち、いつの間に?ねぇ?教えてよ~。」 恵梨は、嬉しそうに話かけてくる…。 私は、我に戻り、恵梨には、 「後で話す…」とだけ言い残し、 彼を追いかけた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加