鬼は外

8/10
30人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「……追儺って、知ってるか」 「ついな……ですか?」 唐突に喋りだした銀時の顔を窺えば、まだ寝ぼけている様子。 きっと明日この話をしても覚えてないことだろう。 「節分のもとになった、中国の行事でよ……俺の生まれた村では、そっちをやってたんだが……」 寝ぼけながらとはいえ銀時の生い立ちについて聞くのは初めてだ。 いつもなら決して話してくれない内容だからと、姿勢を正した。 「あれだろ……節分てぇのは、豆……撒くだろ」 「はい」 「鬼は……追いかけられんじゃん…だから」 「……」 「矢が……痛いし、俺ァ……昔から嫌い、で」 だんだんまとまりが無くなってきた。 「銀さん、矢って?」 「だから……追儺じゃ豆の変わりに、矢で……」 ―――鬼を射る。 .
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!