鬼は外

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「いつだって、俺は鬼で……血が、痛くて……」 「毎年……嫌で……鬼は、だから」 「寒ぃし、血ぃでるし、痛ぇから……」 「節分は……嫌ぇで」 「……」 だんだんと震えの酷くなってきた身体をギュッと抱きしめる。 きっと銀時なりに今日のことを説明しようとしているのだろい。 そう思うと、涙が出た。 「銀さん、もういいです」 「神楽は、好きだろ……?」 「来年から節分はやりませんから、安心して下さい」 「俺の事ァ……いいって」 「駄目です。銀さんも楽しくなきゃ、意味ないです。だから」 無理をするな。 言いたい気持ちは言葉にならず、雫となって溢れた。 「……ばぁか」 銀時の手が伸びてきて、新八の涙を拭った。 「泣くなよ、新八のくせに」 「っ……泣いてません」 「矢なんか……怖かねぇよ。痛ぇことにも、慣れたし」 戦争にまで出ておいて、矢が怖くて負けましたじゃ恰好つかねぇだろ。 そう言って笑う銀時が悲しくて、己れの無力さが酷く目立つ。 .
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