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母親の服装も機動性に長けていて、青のジーパンを七分丈までロールアップにし腕捲りをした灰色の長袖だ。
母親は玄関の鍵を閉め、履き掛けのスニーカーに踵を填め込んだ。
母親はいつも子供たちに、家から外へ出る時は車が来ないか左右確認してよく注意してから道路に出なさい、と言っている。
それは自分が高校生の頃に寝坊して急ぎ足で家を飛び出し、細道を走っていた車に曲がり角で接触してしまい全治一ヶ月の足の骨折をしてしまったからだ。
お陰で子供たち二人は、この家から道路に出る際は庭の隅で一旦停止し、左右を確認してからゆっくりと道路に出ている。
母親も庭を跨ぎ、この家のインターホンと生飛(イクトビ)の門標の横に立ち、左右を確認してから駐車場へと向かった。
駐車場に着くと生飛家の車がエンジンを掛けて待っていた。
十台ほどの車を収容できる駐車場は、砂利の土地にロープで区画分けされているだけのもので、その中に停めてある生飛家の車は黒く巨大な国産のワゴン車だ。
先に車に向かった子供たちは、後ろの席に座って二人でじゃれあっている。
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