~プロローグ~

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  僕たちは禁忌を犯した――― 幼かった僕たちから見ても大罪で、国の最上級の重罪レベル。もし、見つかったら一生監獄での生活、もしくは反動で病院での生活が余儀なくされる。そんなリスクが高い禁忌。 でも僕たちは、ただもう一度会いたかっただけだった――― あの日以来、父さんは僕たちに厳しくなり冷たくなった。そして、笑わなくなった。 僕たちは純粋な気持ちで、父さんに笑って欲しくて、もう一度母さんの温かい微笑みが見たかっただけなんだ――― 「――これで大丈夫だね、お兄ちゃん」 「うん。理論も術式も素材も完璧。後は水の精霊王を召喚して母さんを―――良いか、これは内緒だからな?父さんを驚かせてやろうな!」 「うん!これでパパとママと、またいつもの通り!」 人体の大半は水分で構築されている。だから、水の精霊王に頼めば人一人蘇らせることなんて簡単なことのはずだ。 術は正常に機能し、水の精霊王の召喚にも成功した。でも――― 「っか――、かぁああ!―――」 「なんで?なんでだよ!」 水の精霊王は僕たちの意に反する行動を取った。
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