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嫌な事がある時程、時間は早く経ってしまう。
「………放課後になっちゃったよ」
媛は、くしゃくしゃっと髪を掻いた。
「ファイトだ、媛!」
そう言って肩を叩いたのは、智だった。
「他人事だと思って言うなー!」
「じゃあ、私帰るね」
智は、にやにやと笑いながら教室を出て行った。
「どうしよ―――」
ハアと深いため息をついた瞬間。
「媛さん!」
この声――――
ゆっくり顔を上げると、そこには王上裕貴がにこにこと立っていた。
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