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「媛さ…ん、何処ま…で行くんですか?」
ハアハアと苦しく息を吐きながら裕貴は走っていた。
そして、公園の前でピタリと立ち止まった。
「……………何なのよあんた」
媛は、裕貴をギロリと睨んだ。
「いきなり教室に来て、一緒に帰ろうなんて叫んで。
恥ずかしかったんだから!」
「―――すみません」
裕貴は、ボソッと呟いた。
「僕はただ―――――相談にのってほしくて」
「そんなの、知らないわよ!」
媛は、帰ろうと身を翻した瞬間。
「待ってください!
あなたにしか出来ない相談なんです。
お願いします!」
その声が余りにも真剣で………………
心が揺らいでしまった。
「――――分かった。少しだけなら」
「本当ですか!?」
裕貴は、ぱあっと嬉しそうに口元を緩ませた。
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