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綾部一馬。
1949年2月21日生まれ。
2015年4月10日没。享年66歳。
国立S大学卒業後、建築士として働くが、36歳の時に交通事故に遭い、利き腕である右腕を切断。
左手で西洋画を描き始め、その写真の様な緻密さが話題になる。
没後五年の節目に展覧会を開くが、会場で行方不明者が出た事で遺族が展覧会を中止。
その後行方不明者は発見されず、以後、綾部氏の作品が展覧会に出される事はなかったが、この度めでたく半世紀振りに…………
後は当デパートが長年掛けて説得がどうたら、あまり必要性の感じられない文章が続いている。
何だか読むのが面倒で、パンフレットから視線を上げた。
教科書で何度か綾部一馬の作品を見た事はあったが、実物を見てみるとその凄さが子供の自分にも解る。
まさに「写真の様」なのだ。
詳しくは知らないが、普通どんなに細かい絵でも、近くで見ると割と粗く出来ている筈だ。
それが、綾部一馬の絵は驚く程緻密に描かれ、絵の具を感じさせない。
かといって写真とは違う。
素人には、使用されている絵の具を想像する事すら出来ない。
森の中を描いた作品、異国の街を描いた作品、海の中や、家の中を描いた作品。
どれもこれもが、本当に絵の向こう側に存在している様な気にさせられる。
作品の周囲に囲いは無く、その緻密さが面白くて、出来得る限り絵に近付いて眺めたりした。
ただ夏休みの課題を済ませる為に都合良く近所でやっていた展示に来ただけだったが、思いの外楽しめた。
受験勉強の良い気晴らしにもなった。
これだったら、あっさりレポートが書けそうだ。
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