101人が本棚に入れています
本棚に追加
とある森の中…
「待ってよ~龍雅(リュウガ)お兄ちゃん!」
「ああ、ごめんごめん龍奈(ルナ);」
龍雅と呼ばれる少年と、龍奈と呼ばれる少女が何処かを目指しながら走っていた。龍雅の本名は蘇王(スオウ)龍雅、龍奈の本名は蘇王龍奈で、二人は双子の兄妹である。龍雅と龍奈は顔や目の色などがとても似ていて、髪型さえ一緒ならばどっちがどっちか見分けがつかなくなる程である。
「はあ…はあ…お兄ちゃん早過ぎだよ;」
「だからごめんってば;」
「うん;それより、今日は何処に行くの?」
「今日はこの森を抜けた先にある湖に行こうと思ってね」
龍雅と龍奈はどうやら森を抜けた先にある湖を目指しているようだった。
「湖に行くんだね?なら家出る前に言ってよ;」
「今度から気をつけるよ;それじゃ行こう」
「うん」
龍奈は龍雅に家を出る前に事前に教えてほしいと、顔を膨らませながら言った。龍雅は今度から気をつけると苦笑いし、二人は湖を目指して歩き始めた。
(……ん?何か変だな…いつもならここを進めばすぐ湖に出れるはずなのに)
「お兄ちゃん、どうかしたの?」
龍雅がいつもならすぐ湖に出れる道なのに全く湖に出れないと、違和感を感じ、龍奈がすぐに龍雅の様子がおかしい事に気付く。
「いや…どれだけ先に進んでも湖に出れないんだ。それに霧が濃くなって……!」
「お兄ちゃん…霧で目の前が何も見えないよ…」
「どうなってるんだ…?とにかく龍奈、声を掛け合ってお互いの位置を知らせるんだ!」
「うん、分かった!」
龍雅と龍奈はお互いが霧で見えなくなってしまったため、声を掛け合って位置を知らせる。しばらく声を掛け合っていたが、そこで変化が起きた。
「うぅ…!」
「龍奈…!?どうかしたの……うぁ…!?」
(何だ…?今……誰かに頭を…殴られた……ような気が……)
龍奈が突然呻き声をあげ、ドサリという音を立てて倒れる。龍雅がどうかしたのかと叫んだ瞬間、誰かに頭を殴られたような感覚がし、そのまま気を失った。
最初のコメントを投稿しよう!