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空にはどす黒い雲が重く垂れ下がり、冷たい雨が容赦なく降り注ぐ。 風も時より強く吹き荒れ、木々の不気味にしなる音が響き渡る。 周りには1週間前に収穫を終えたばかりの畑が色褪せたように広がっていた。 そんな中、一台の古いトラクターが都市部へ向けて走っていた。 最もトラクターの後ろに引っ張られているのは農作業用の機械ではなく、牛や豚といった家畜を乗せる檻の付いた荷台車だ。 だが、荷台車に乗っているのは家畜ではなく人間達であった。 性別は全て男。年齢は下は5~6才、上でも15才に満たない少年達が十数人みすぼらしい服装のまま乗せられていた。 彼らは奴隷… もはや逃げる意思すら失った彼らは荷台の床に体育座りで座り、身を縮めながら寒さを忍いでいた。 彼らの瞳は精気を失い、暗く沈んでいる。
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