2人が本棚に入れています
本棚に追加
「この場面はお前しかいないんだ藤井。代走はお前だ」
監督と選手は声を揃えて俺に言う。
「アウトになっても誰もせめたりしねぇよ!」
「藤井!去年のリベンジ果たしてやれ!」
「俺が歩いてホームベースを踏ませてやる!」
チームメート達が俺にそれぞれのエールを送る。涙はもう拭いた。もう泣かない。
するとしばらくしてアナウンスから声が聞こえる。
「ピンチランナー。藤井くん」
その瞬間、大きな歓声が甲子園に巻き起こった。
周りからは韋駄天コールが巻き起こる。
どうやら観客達も俺を見捨ててなかったようだ。
たくさんの人たちに支えられて生きてきた。
場面は1アウトランナーは3塁。それは奇しくも去年の甲子園とまったく同じ舞台である。
もうアウトにはならない。
俺はこの義足で必ずホームベースを踏んでやる。
そしてチームを優勝に導く。
最初のコメントを投稿しよう!