最後の代走

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そして、俺に嬉しい朗報が一気に2つも飛び込んできた。 1つ目は、ウチの高校が甲子園でも快進撃を繰り広げ見事決勝まで勝ち上がったことである。 キャプテンであった俺なしでもチームは全然心配なかった。みんな心を一つに全員野球で頑張った。 そして2つ目。 ついにリハビリが終了したのである。これで私生活に戻ることができる。 大きなハンデを背負って生きていくことになるが、野球がまた出来る。 涙が止まらなかった。 足を失った時とは違う涙。 嬉し涙であった。 それを早速チームに伝えると、みんなは声を揃えて喜んでくれた。 すると監督が俺に1枚のユニフォームを差し出した。 「藤井…。この8番のユニフォームはお前のものだ」 チームは試合で使いものになるわけのない俺に、ずっとつけていた背番号、8番をとっておいてくれたのだ。 嬉しかった。 あの甲子園のベンチにもう一度座ることができるんだ。 さらに俺は3塁ランナーコーチという大役も任されたのである。 走塁についてなら藤井が1番知っているはずだ。 俺が戻ってきたらそうする。 みんなの意見は全員一致だったらしい。
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