最後の代走

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こんなにもみんなは俺を信用してくれていた。 チームメートというのは一生の宝である。 互いに苦難を乗り越え互いに悲しみを分かち合う。 こいつらに出会えて本当に良かった。 そして俺達は運命の甲子園決勝を向かえるのである。 相手は優勝候補筆頭。これまで無難に試合を勝ち上がってきた正真正銘の王者である。 ちなみに俺達が去年、敗北を許した高校だ。 まさか決勝で当たることになるとは… 俺の気持ちは正直、微妙だった。 俺が出たかった。 足を失った悲しみは克服したつもりだったのに、やっぱり心に嘘はつけなかったようだ。 だが俺は気持ちを抑える。 今は3塁ランナーコーチに集中するんだ。 チームを優勝させること。 それが俺の今できること。そしてすべきことだ。
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