最後の代走

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すると監督は思いもよらないことを口にした。 「よしっ。じゃあ藤井。お前が代走に行け」 「えっ?」 言葉が止まった。監督の言っていることが掴めない。 「お前…試合出たいんだろ?」 「で…でも僕は……」 「義足だから…。そう言いたいんだろ?それがどうした藤井。お前は甲子園の韋駄天じゃなかったのか」 「でも…それは…」 涙が溢れる。 「もう何も言わなくて良い藤井。みんな!この場面、代走は誰が1番むいてると思う?」 監督はベンチのみんなに白々しく質問をした。 「もちろん藤井です」 「えっ?藤井に決まってるじゃないですか?」 「藤井しかいませんよ!」 チームのみんなもみんなで、白々しい。でも涙は止まらない。
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