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しかし現実はそうではなく、レイルは次の魔法を発動させる。
「フリーズランド」
するとウルフの足元が外側から内側に向かって凍りはじめた。
足元の土が徐々に凍り始め、うろたえるウルフ達。
ウルフは避けようともがくが、狭い空間の中どうしてそれが避けられようか。
足元が氷で覆われてウルフ達は次々と動けなくなる。
身動きが出来なくなったウルフに、竜巻を解除しながら近づくレイル。
ウルフは吠える事を止めないが、彼はそれを気にも留めない。
充分に敵へと近づいた彼は背中にかけた長剣、バスタードソードに手をかける。
バスタードソードを引き抜き、両手で持って左に構える。
彼は何かを呟き、続けてこう呟きながら剣を横に一閃。
「……カッター」
ふりぬいた剣からは薄く、透明な、真空の刃が放たれる。
その凶刃はウルフ全頭を射程範囲に納め、胴体を一気に両断した。
全ての個体が真っ二つに裂けたのを確認した。
散乱する死骸の中に生き残ったものはいないだろう。
そのスプラッターな状況を見て、レイルは少し吐き気をもよおした。
しかし、それでも彼はたった一人でウルフの群れを殲滅してしまったのである。
そして味方へ振り返り様に一言。
「……ふう。ちょっと疲れたかな……頭痛いし気持ち悪いし。……だれかぁコーヒーちょうだい!」
こんな事をやってのけたにも関わらず、相変わらず軽い調子のレイルであった。
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