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「……コーヒーに禁断症状なんてあったか?」
首を傾げてフォースがレイルを心配する。
コーヒーを飲み過ぎるとカフェイン中毒になり、カフェインが切れると頭痛がおこる。
言うまでもなく、レイルはカフェイン中毒である。
まあコーヒーに入っているカフェインの存在など、この世界では知られていないのであるが。
「今の状態がそうだよ……しょうがないからドリップコーヒー作るよ……」
そういって目は虚ろに、体は脱力してふらふらとよろめきながらレイルは豆を挽きだした。
さっきまでコーヒーを飲んでいたので、中毒症状はでないはずなのだが。
レイルは意味を履き違えているのかもしれない。
「挽きたてのコーヒーはうまいぞ。待ち時間もその美味しさのためとなれば苦にはならないんじゃないか?」
フォースはレイルを励まそうとしているのだろう。
それならば全部飲まなければよいのだが。
しかも口がだらし無くひらき、よだれが垂れていて説得力のかけらもない。
「今すぐ飲みたかった……」
レイルはよほどショックだったのか、その顔に気づかない。
フォースはある意味レイルの天敵なのかもしれない。
「よっしゃ二位! ……ってあれ? 豆挽いてるって事はインスタントきれた?」
そこへ意気揚々とマルスが帰ってきた。
「後で買い出し行かないとあいつの禁断症状ひどい事になるぞ」
フォースは一応レイルを心配しているようだ。
しかし、よだれが未だ垂れているのでレイルではなくコーヒーの心配をしているのかもしれない。
「とりあえずは挽いたものをご馳走になるかな」
そういいながらマルスは席に着く。
彼は意外とちゃっかりしていた。
「途中で思ったけど走らない方が疲れなかった……」
少し息を切らせながら、シャーネが詰め所に入ってきた。
「疲れたから休もうぜ。早くこっちにこいよ」
シャーネを手招きするフォース。
マルスは隣で早くよだれを拭けよというような視線を送っている。
「いやいや、何もしてないでしょフォースは」
シャーネは呆れながら言葉の訂正をする。
確かにフォースは詰め所で待っていただけで疲れる要素はない。
「俺は待ちくたびれたんだ!」
「理不尽な事言わないでよ!」
コーヒーはまだいれ終わらない。
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