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「コーヒーも出来た事ですし、みんなで飲みましょうか」
「お、ルイ。戻ってきてたのか」
いつの間にか戻ってきていたルイ。
誰にも気づかれずに、閉じたドアに寄り掛かっていた。
そんなルイに最初に声をかけたのはフォース。
「今着いたところですよ。まあ後は座って話しをしましょう。今日の魔物の報告もかねて」
襲撃してきた魔物の報告は、必ず行うように義務付けられている。
傾向を知ることで、対策等もたてやすくなるからだ。
ただ彼等の実力からいうと、そんなものはたいして役に立っていない。
使わずとも、楽に倒せる魔物しかいないからだ。
「手短にな。俺もドリップコーヒー飲みたいから」
インスタントコーヒーを飲み干した筈のフォースは、まだコーヒーが飲みたいそうで舌なめずりをしている。
「俺のインスタント飲んだじゃないか!」
すぐにコーヒーが飲めなかったレイルは、そのことに納得いかないようだ。
しかしコーヒーから漂う甘い香気が彼の鼻腔をくすぐり、満面の笑みを浮かべている。
怒っている様には到底見えない。
「それとこれとは話が別だろ。ドリップの方がおいしい」
やはりおいしい方も飲みたいらしい。
「……まあ否定はしないけどな!」
コーヒー信者のレイルはそのことに賛同し親指を立てる、サムズアップ。
こうして彼等の争いは極めて穏やかに収束したのである。
「コーヒーは『俺の』じゃなくて『皆の』でしょ!?」
そんな和平にも構うことなく、細かい所に遠慮なくツッコむシャーネであった。
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