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「……まあこの二人はほっといて、とりあえず報告を聞いて下さい」
ルイは多少呆れながら、喧騒を無視して報告を始めようとする。
フォースはめんどくさそうに欠伸をしながら答える。
「めんどくさいなあ……で、魔物はなんだった?」
「今日はウルフ四十二頭とガルーダ十三羽、ゴブリン二十二体が襲撃してきました」
「……そりゃ豪勢な事で」
普段襲撃されるときは、一つの種族が数体、多くても種族が二種で数体程度である。
いつもはふざけてばかりいるフォースも、この時は真面目に思考しているようだ。
「ウルフとガルーダはともかく、こんな昼間にゴブリンか? それに普通に考えればつるむ理由が無いだろ」
ウルフやガルーダは基本昼行性で、ゴブリンは夜行性である。
それにどの種族も他種族と一緒に行動をしない。
個体数、種族数、そしてそれぞれの習性。
どれをとっても、異常としか取れない事態である。
「ええ、そうなんですよね……ゴブリンが昼間に出るのははじめての出来事ですし。一斉に襲ってきたわけでは無いんですけどね。まずはゴブリンが襲撃、後からガルーダ、最後にウルフがやってきました」
彼等は昼にゴブリンが現れた事にやや驚きながらも、ゴブリン討伐に向かった。
その時にはすぐに片付くと思っていた。
活動時間外の生物の動きは鈍いからだ。
しかしゴブリンは思ったよりもたくさんいた事、途中からガルーダやウルフが加わった事等が原因で、戦いが長引いたのだ。
「となると、よくわからんが襲撃の時間が偶然重なっただけか……?」
腑に落ちない顔をしながらも、フォースはそう結論づける。
「おそらくそうでしょうが……何か引っ掛かりますね」
ルイには今回の襲撃が、何か異変があるとしか思えなかった。
「……ま、大丈夫じゃないか? それよりコーヒーが冷めるぞ。早く飲もうぜ」
「……そうですね。考えても、結論はでないでしょうし。コーヒーは美味しいうちに頂きましょう」
二人にはまだ結論づけるための情報が足りなかった。
考えることをやめた二人は報告を終え、コーヒーを飲みにレイル達のもとへと向かった。
それにしてもこの自警団の人間は皆、コーヒーが人並み以上に好きなようだ。
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