銀髪男の来襲

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その日の4限目は古典の授業で、憐の受け持ちだった。 色めき立つ女子生徒はギラギラと黒板に文字を書き連ねる憐を見ていて、背後では鼻息なのかなんなのか、おかしな息遣いが聴こえてくる。 希良々は別な意味でのギラギラした眼差しを憐に送っていた。 (休み入ったらソッコー問い詰めるっ!!) 殺気混じりの眼差しを憐に向け、時折……というよりしょっちゅう視線が合わさるが、憐は余裕な表情を崩さない。 それが余計に希良々の神経を逆撫でする。 みどりちゃん先生はどうしているのか。 他の先生方や生徒の記憶はどうやって操作しているのか。 問いつめたいことは山ほどあるが、憐が本当に妖狐で神使ならばみどりちゃん先生の安全は保障されているはずで。 記憶操作をされていても、悪影響はすぐには出ないだろうと希良々は読み。 先ずは何より文句を言いたくなってきた。 (私に触れたの……忘れてないんだからね!!) 憐が教室に現れてから時間が経つにつれ、驚きは怒りへと変化していき、授業の間に交わす視線が増長させてきた。 大昔の人が書いた文は希良々の耳をすり抜け、じっと時が経つのを待った。 .
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