銀髪男の来襲

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キーンコーン  カーンコーン 学校全体に鳴り響く、待ちに待った授業を終える合図。 それは女子生徒も同じようで、『起立、礼』の号令を待たずしてあっという間に教材を纏める憐を取り囲んだ。 「比槻センセー! 一緒にお昼食べようよ!」 「だーめ! うちらと食べよ」 「こっちが先だってば!」 口々に憐を取り合う女子。 「いや、悪いが俺は……」 「いいでしょ? ねっ、センセー?」 クラスでも1、2を争う派手な容姿の冴子と言う名の子が、自慢の巨乳を憐に押し付け上目遣いで言っている。 あのデカメロンには敵わないとばかりに他の女子がハンカチを噛みたいといった表情の中、希良々は群がるクラスメイトを掻き分けて憐の前に立ちはだかる。 バーン!! 思いきり教科書を教卓に叩きつけ、色気もへったくれもない据わった眼で上目遣いをする希良々。 「……比槻先生……? こことここと、あとここも。ご質問があるんですがいいですか?」 開いたページに指を走らせ低く言えば、周りのクラスメイトやデカメロンを携えている冴子すらも希良々のただならぬ迫力に引き気味。 「もちろんだとも! 悪いがみんな、食事はまた今度な」 憐だけは希良々の気迫に物怖じせず、どこかウキウキと希良々の申し出を了承し、希良々に先立って教室を出た。 .
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