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バリッ、バリッと希良々の指先から静電気が走る。
まさに希良々の心情を表しているかのようだ。
「私ね、あなたが神使だと思ったから景仰しなきゃって……。どんなに我慢ならないことされても、やっぱり暴力はいけないなって」
バリッ、バリッーー。
指先の静電気は音を鳴らし続ける。
「みどりちゃん先生の代わりにあたなが来ても、神使なら悪いようにはしないだろうって」
バリリッ、バリリッーー。
静電気は徐々に唸りを上げ、大きくなる。
「みんなの記憶を操作したのは赦せないけど、それも何か理由があってのことで、まずは訊いてからって……。なのに」
ーー神使じゃないなんて、と希良々は心の中で低く呟いてから指を組んだ。
「まっ……!!」
憐は「待て」と言おうとしたのだろうけど、最後まで言葉を紡げはしなかった。
何故ならば希良々によって放たれた術が憐を直撃したから。
「滅」と短く呟いた希良々の抑揚のない声とは反して、勢いよく発せられた何らかの術。
バリバリバリーっという音と共に
「ぐおぉぉぉっ!!」
とけたたましい叫びが部屋に充満した。
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