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「……死にたい。生きてくない」
私は涙、鼻水を流しながらポツリと言った。
「……死ねばこの苦しさから解放される」
私の頭の中には『死』しかない。
目の前に化粧品が入っている化粧箱がある。
……たしか、あの中に剃刀があったはず。
私は迷わずヨロヨロとだが化粧箱へ向かう。
化粧箱の中をゴソゴソと探す。
……剃刀を。
剃刀はすぐに見つかった。
剃刀の種類は二つ。
刃に対して縦に筋が入り、刃の部分を触っても切れ味は良いとは言えない縦一直線の安全剃刀。
もう一種は先にいった剃刀より安価で一箱五本くらい入った、眉毛や顔のうぶ毛を剃る為に買った縦剃刀。
脇や手足の無駄毛処理用のT字型の剃刀もあるけどソレは問題外──。
私は先ず、安全剃刀を左手首にあてて横にスライドさせてみる。
当然の如く思った通りに切れなかった。
皮膚すらまともに切れず、擦った感じに皮膚が白くなっただけだった。
──血すら出てこなかった。
「……」
後に、私はあんなに眉毛やうぶ毛を剃るのに、安全剃刀、侮り難しと思った。
私は安全剃刀でやるのを諦め、もう一本の安価剃刀で切ることにした。
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