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「……痛いし、苦しいし、そのうえ死ねないなんて――」
ポロポロと目から涙が溢れ出て、鼻からは透明の鼻水が流れ出てくる。
私は剃刀を手離し、机の上に置いた。
机には剃刀の他に先程、手首を切った時に出てきた血液のついたティッシュも置かれている。
私は膝を折り、体育座りをして丸くなる。
──自殺を図ることも出来ない女
私は結局、死にたいと一時的に感情に支配されて、リストカットという方法を選んで自殺すら出来なかった。
私の手首の血流れず固まっている。
ヨロヨロと私は立ち上がり洗面所へ向かう為に部屋を出た。
部屋のドアを開けると真っ暗で何も見えない。いや、正確には私のいた部屋から光が漏れて、見えていない部分がだ。
洗面所への道は電気をつけなくても分かる。
自分の領域〈テリトリー〉だから──。
私は蛇口をひねり、自分で作った傷口を洗っている。
このあと私はこのリストカット傷に消毒薬を塗り、傷に効く軟膏を塗るのだろう。
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