カナ(仮名) 18才

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 私が『リストカット』とという言葉を初めて知ったのは、中学生の時だ。  担任の先生が、リストカットをし続けて止めることが出来ない人がいるということを授業中に教えてくれたのだ。  その時の私のクラスには少々変わった子がいて度々、授業中に抜け出すという行為をするという子がいた。  その子はすぐに何でもかんでも自分達と同じような行動をしないとすまない、もしくはその子がヒイキされているのではないかと思った集団行動を基調とした女子生徒達の目にとまったのだ。  当時、私は彼女達の輪には入っていない。あまり、ああいった彼女達の行動が理解できなかったし、いてもいなくてもよかったんだと思う。  いろいろな面で彼女達とはずれているのだ。  結局、彼女の他の女子生徒達に贔屓だクラスの和を乱すと言って、彼女を転校までに追い詰めたのだ。  その間、私は彼女を庇うことすらしていない傍観者だった。自分が標的にされるのがこわかったのだ。  今、思えば担任が言っていた『リストカット』を繰り返す人の話は、転校した彼女のようにどうにも出来ないことだから認めてやれということではなかったのだろうか──。
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