カナ(仮名) 18才

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 私はどちらかと言えば友達を作ったりすることは不得手な人間だと自覚している。  次に、私が座っている場所は前列のはしっこ。学校の校舎から数十数メートル離れたところは一般道があり、田舎だがそれなりに車が往来して、その音が耳に入る。  そして、黒板のチョークの粉が私の机を汚し、さらにそのチョークの粉の影響か目が痛くてたまらなかった。  後の不満と言えば教える先生の字が汚いことと、次々と進んでノートが追い付かなかったことであろう。  最後の決定打は注射であった。 私は別に自分に針を刺されるのは気にはしないが、人に針を刺すとなると話は別だ。医療行為とはいえ、私には耐えられない。  だが、ここで、入学金、教科書代、通学用の車を払ってくれた親、推薦をしてくれた高校に迷惑をかけてはいけないというのが頭の中を支配する。  それを誰にも打ち上げず悶々と自分の中に溜めているといつの間にか、涙腺が弛み涙が出るようになっていた。  私はそれを以前テレビで見た女性がストレスを受けると流す涙だと思ってやり過ごした。  だが、その涙はいつしか止まらなくなる。そして、極度の眠気が私を襲うようになった。
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