カナ(仮名) 18才

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 私は授業放棄をし、いつしか『死』を考えるようになった。  最初はリストカットで血をみることによって根拠のない安心感を得ていた。  自分は自分を傷つけることが出来るという安心感──。  ならば自分は『死ねるのではないか』。  現実はそう上手くいかなかった。  いつものリストカットと同じ、皮膚を切って、一番最初に出てきた血を見て、私は死ねると思った。  だが、それだけの深さでは足りない。  動脈、静脈、手首に集中している各視神経を切断する必要があり、また、その痛みに耐えることと、決して切った傷口から流れだす血液を止めないようにしなければ死ねない。また、誰かに見つかってはいけない。 私のリストカットによる自殺は結局、静脈にも動脈にも、神経にも達することなく、いつものリストカットよりほんの少しだけ深く切っただけであった。  その後、私は親に連れられて心療内科のある病院にいくことになる。  その時の医者曰(いわ)く、 「自傷(自殺)行為があればただちに入院する必要がある」 だった。  親はそれを聞いて私にリストカットのことを隠せと言った。  世間体に対してか、自傷(自殺)行為で入院させることに抵抗を感じたのかは、私にはわからない。  私は現在、看護学校を中退の後、アルバイトをしている。  学校にいたような重たい気分はない。  だが、たまにだが左手が疼く。  リストカットを望むかのように──。
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