虹色の国

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『あおいろ』はね、不意に自分を客観的に視たときの色。 もしかして自分に気があるんじゃ?なんて思ってるときに、そんなはずないと水を差す冷めた感情。 ――それは冷青。 『あいいろ』は…大きな失敗をしたり避けられてると感じて落ち込んでいる時の色でしょうね。 自分は嫌われてしまった、もう駄目なんだと泣きたくなる。 ――それは悲藍。 最後は『むらさきいろ』ね、これは強気と弱気が入り混じった色。 あの時こう言ってたから自分に気があるんじゃないか?でもその前には…、そんな風に好きな子の言動に振り回されて思い悩む。 ――それは紫慮。 いつの間にか、そんなこと言ってるあんたに、俺は見入ってしまってた。 そうしてあんたは、最後を締めくくる。 この七色を混ぜ合わせたのが『にじいろ』、混ぜすぎると黒になっちゃうから気を付けてね。 そう言って微笑んだその顔は、息が止まるくらい可愛くて、自分の顔が熱を持ったのがわかった。 心臓がバクバク言ってる、なんかムカつく。 そんな俺を知ってか知らずか、顔を近付けて来るんだからたまらない。 わかった?なんて言いながら俺に笑い掛ける。
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