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ウチの会社は「体育会系」のノリで、新入社員が入ると、まず宴会で「芸」をやらせる。
裸芸やるやつもいれば、手品でお茶を濁すやつもいる。
オレは弾き語りで先輩社員ネタの替歌やって非難ごうごうだったんすけど。
俺が入社して三年目。
例年通り宴会での新入社員による「芸」が始まった。
新人Aの番になると、宴会場に「電撃ネットワークのテーマ」が鳴り響いた。
案の定、電撃ネットワークの真似事とを始めた彼。
口の中でクラッカー炸裂させたりゴム手袋を頭にかぶり、鼻息で破裂させるとか、まぁ定番ですね。
「マネばっかじゃねーか」というヤジに怒った彼は、とっさに宴会場の調理場へ駆け込んだ。
で、なにを持ってきたかというと「増えるワカメ」一袋。
「これを腹の中で増やしまーす!」と言うやいなや、袋をあけてズザザザーっと口に流し込んだ。
バリバリ噛み砕き、ビールで流し込む彼。
一袋流し込んだものの、周囲からは冷めた目。
でも、これで芸は一応終了ということで席に戻った彼は、受けなかったせいか、席に着くなりビールをガブ飲みし始めた。
かなり酔っぱらっている。
さて、お開き、となりみんな席を立ちはじめたが、新人Aが端の方で寝転がってる。先輩である俺は、やれやれとAの介抱に向った。
しかし彼は呼び掛けても反応がない。
よく見ると顔が青ざめて呼吸がない!
誰かが「急性アル中だ!」と叫び、宴会場からすぐ救急車を呼ぶ。
オレと上司が病院までつきそった。
Aが治療室に運ばれてしばらくして、一人の医師がやってきて治療室へ案内される。
そこには呼吸器をつけられたAの姿。とりあえず命に別状はないらしい。
ホっとするも、医師が神妙な顔でやってくる。
「これ、なんだと思います?」と彼が差し出したトレイの上いっぱいに、ドロドロした緑色の物体。
最初はよくわからなかったが、しばらくするとそれが大量の「ワカメ」であることがわかった。
彼の胃で確実に「増えた」大量のワカメは、気管を圧迫し、彼を窒息状態におとしいれていたのだ。
なんとか一命をとりとめた新人A君は、この事件によって、一躍我が社の「伝説」となったのであった…。
それ以来、我が社の社長は訓辞の中では必ず「増えるワカメは完全に増えきってから食べるように」と言っているとかいないとか。
めでたしめでたし。
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