信じるも信じないも、アナタしだい…

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ベビーシッター 若いお母さんが、出かけるために子守り(ベビーシッター)を雇いました。 派遣されてきたのは、移民としてアメリカに渡った外国人女性でした。 英語はカタコトでしたが、婦人は彼女の国の言葉が話せたので問題はなく、早速来てもらうことにしました。 ある日、奥さんはいつものように子守りを呼んで家を出ました。 外出先で時間ができたので赤ちゃんの様子を聞いてみようと自宅に電話をいれました。 「今、寝てます」 カタコトの英語で子守りは応答しました。 奥さんはちらりと腕時計を見てから、子守りの故郷の言葉でこう言いました。 「そう。じゃあそろそろ起こしておいてくれる?」 「はい。奥さま」 婦人は満足して電話を切りました。 ところが、彼女はたいへんな間違いをしてしまったのでした。 ベビーシッターの国の「起こす」という言葉には、実はもうひとつの意味があったのです。 「調理する」です。 夕方になって奥さんは帰宅しました。 出迎えに出た子守りに言います。 「赤ちゃんは?」 「はい。奥さま」 子守りは台所にとってかえすと、オーブンから取り出した肉をトレーにのせて運んできました。 「奥さま、言い付け通りに、調理しておきました」
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