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「まだ来たばっかりじゃないのさ。もしかして希一クンて、オバケとか苦手だったり?」
「一度も遭ったことないのに苦手になんかなりませんよ」
「あ、希一クンて霊感無いんだ」
「有ると思ってたんですか?」
「うん。てっきり私と同じかと思ってた」
何気ない会話の中、希一は顔をしかめる。
「東雲さん、霊感有ったんですか?」
「バリバリだよー? 必要無い時とかは見えないようにしてるけど」
「それかなり凄い事だって、気付いてます?」
「オバケ見えるぐらい、そんな凄いことじゃないよーっ」
笑いながら階段を上っていく。スカートではなく短パンなので、残念ながら中は見えない。だがしましまオーバーニーが絶対領域を演出しているので、好きな人には逆にウケるかもしれない。
「いや、凄いのはそっちじゃなくて」
「お? ……希一クン、あそこ! あそこにテープが張ってあるよ!」
希一に呼び掛けながらも白馬はそのテープの張ってある教室前まで駆けていった。
「人の話聞く気無いな……東雲さん、待ってくださいっ」
勝手に突っ走るトラブルメーカーを追い掛ける希一。途中横切った教室の中に何か人らしき影が見え、立ち止まる。
「おーい、希一クンはやくー」
中を確認しようとするも、白馬の催促の声に中断させられた。
希一は後で駄々をこねられても面倒だと仕方無く諦め、白馬の許に向かった。
「何か有りましたか?」
「んーん。今のところはなんにも」
白馬は携帯のライトで真っ暗な空間を照らし中の様子を確認していた。
教室の中には角の方に寄せて積まれた机と、中央に白く縁取られた被害者の姿。特別荒れた雰囲気は無い。
「まあ、警察が何か残していってるとは思えませんしね」
「むー……私の為に色々残していけば良いのに」
「そんな警察は嫌ですよ……」
一通り怪しそうな場所を漁る白馬だが、結局ここには何もなかった。
「残念でしたね。僕としては面倒が無くて良かったですけど」
「一言余計! はぁぁ、収穫無しかぁ……面白くない、面白くない」
「便りが無いのは良いことですよ」
「頼りが無いのは希一クンでしょー」
「意味が違います。さ、何も無いって分かったんですから、帰りますよ」
「はぁ~い……」
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