舞い上がる桜に紛れ込んだ

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「―――…大丈夫。…“家族”だと……ちゃんと思ってるよ。」 薄く笑みを浮かべれながら桜歌を見つめて呟く。 想いの切なさと共に、昔のことをぼんやりと思い出していた僕は、そんな僕と桜歌の2人を黙って見ていた秀弥の瞳が、ほんの一瞬、苦しげに潜められたことには気付かなかった。 僕の両親と桜歌の両親は特別に仲がよかった。特に母親同士は幼い頃からの親友らしく住む家も隣同士。父親同士もすぐに仲良くなり家族ぐるみの交友関係は深かったらしい。 その深い友情はもはやお互いに家族と思っているほどのものだった。過言ではなく本当に縁が深かったらしい。 母親たちはほぼ同時期に妊娠が発覚した。それが僕と桜歌だった。僕は3月29日に生まれ、桜歌は4月1日に生まれた。 おかげで1学年の差ができたのだが。両親達的にはそれは些細なことらしく、お互いに双子のように考えた。 「名前も双子みたいにお揃いにしようね」 その恵美さんの一言で僕の名前と桜歌の名前は決まった。曰く、2人とも桜が大好きだったそうで。 そうやって生まれた時からほぼずっと一緒に過ごしてきた僕たちにはお互いにお互いが大好きで。でもそこにはいつからか……――いつからか、想いの差ができていた。 そして僕が育っていたその想いにようやく気付き、…ようやく認められたころに―…悲劇は起きる。 ――…僕の両親と、桜歌の父親の3人が乗った飛行機が、墜落した。
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