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それからすぐに僕は恵美さんに引き取られた。
僕の両親にはすでに親戚が居なかったこともあるが、それよりも恵美さんや桜歌にとって僕はすでに家族であり、また恵美さんにとっては僕の両親の―…なにより親友だった僕の母親の忘れ形見だったからだ。
引き取られることを告げられた時、僕は申し訳なくて、…なにより桜歌と血がつながってないとはいえ“兄妹”になるのも耐えられなかったために恵美さんに引き取られることを拒んでいた。
けれど恵美さんも夫や親友を一度に亡くした哀しみは一緒で。せめて僕と桜歌だけは失いたくない、と泣き崩れた彼女を見て、そしてそんな母親を見て泣く桜歌を見て。僕が彼女たちを守るのだと決心した。
恵美さんも桜歌も大切で。大好きで。彼女たちを守るためなら強くなろうと思ったんだ。
――…それがどんなに辛いことでも、彼女たちを守れるなら僕は我慢できるだろうから。
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