舞い上がる桜に紛れ込んだ

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彼女特有の香り。 癖っ毛のくせに柔らかな髪質。 温かさ。 その全てを愛しく想い、僕は彼女の幸せをいつだって願っている。 ――……“兄”として……― 無意識のうちに瞳を強く閉じていたらしい、そのまま抱きしめる腕にも微かに一瞬だけ、ギュッと力をこめたあと、やんわりと彼女の身体を離した。 「…で?なんでまた一緒に寝ようって?まぁだいたい予想はつくけどね。」 「…………えへへ」 笑ってごまかそうとする彼女の頭をポンポンと軽く撫でながら小さくため息を吐いた。 「どうせまた怖い夢見たぐらいだろう?…君さ、もう高2だよね?その年でそれくらいのことで1つしか変わらない兄と寝て恥ずかしくないの…?」 「………だって…本当に怖かったんだから。」 桜歌は枕を抱きしめたままとことこと僕のベッドまで歩いていき、ポスンと座りこむ。 「……僕、まだいいよなんて一言も言ってないんだけど?…勝手に…」 「ひおちゃんのケチ。いいじゃない。怖いんだもん。それに恥ずかしくなんてないもんね。」 「………君さぁ……。」 プゥーと効果音がつきそうなほど頬を膨らませる桜歌に本当に高2なのかと疑いたくなる。 「そうやっていつまでも恥ずかしがらずに一緒に寝たり、そんな顔したり。だから子供っぽいって言われるんだよ。」 どう見たって中学生だ。頑張れば小学生に見えないこともない。 とは口には出さずに呆れた視線をくれてやる。 「あ――っ!ひおちゃんまでそう言うのぉ!?私、今日、また夢ちゃんにまでそう言われたんだよ!」 「ふ――ん…夢にも言われたの。」 …彼女が桜歌を猫可愛がりしながらもわざと呆れた顔をしたりそう言ったりするのは一種の愛情表現だろう。(つついて遊ぶのが楽しくて可愛くて仕方ないらしいしな。) ―――…彼女の考えも解らなくもないが。
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