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「おい。緋桜。起きろ。」
ドンドンドンと激しいノック音に眠りから覚める。
「………うるさいな。」
ドアを遠慮なく叩く人物に思い当たり(…というよりもこれまた日常茶飯事なので)無視して二度寝を決めこむ。
「おい、てめぇ…無視すんじゃねぇぞ。」
「……んぅ~………。」
ガンッと一際大きく扉を叩く(殴った)音に、横に眠る桜歌が声をあげた。
それを聞いて僕は再び眠りにつきながらも、ああまたいつものようにアイツが怒り狂うだろうと考えた。
「………てめぇ……桜歌………。」
ドガッと激しい音がして(もはやノックではない。)扉が蹴り開けられる。
「………シュウちゃん、うるさいぃ…。それにそのドア何回壊すのぉ…?」
ずかずかと部屋に入ってくる足音がして秀弥がバサッと布団をめくった。
「おい、桜歌。…てめぇまた緋桜の部屋に転がりこんで寝やがったのか…。」
がしっと桜歌の首ねっこを掴みあげた秀はギラリと目をすわらせて彼女を睨みつけた。
「んぅ!?くびっくびっ!シュウちゃん、首しまるよ…!」
「うるせぇ。てめぇ…あれほど1人で寝ろっつってんのにまた今日も……。高2の女子が1つ上の男と一緒に寝るなっ!」
「シュウちゃん、ひおちゃんもいいよって言ってくれたのよぅ?それに私まだ眠いよ…」
「馬鹿かっ!?そういう問題じゃねぇだろ!つぅかもう7時だっ!てめぇ遅刻すんぞ!?」
ギャーギャーと怒り狂う秀弥に桜歌は寝ぼけ頭でずれた回答を返し、おかしなやりとりが聞こえる。
「……秀、桜歌、うるさい…」
「ひおちゃんごめんねぇ…ほらぁ~シュウちゃんも謝って~」
「あ゛!?てめぇ…何ぬかしてやがる?つぅか緋桜もうるさいとか言ってねぇで起きろ!この惰眠むさばり兄妹が!ったくなんでお前らそんなところで似てるんだ!?」
「………秀。」
うるさい。と睨みを効かせ一言名前を呼ぶが、秀の言うように僕も桜歌の無防備さはどうにかならないのか考えている手前、あとは何も言わずに放置した。
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