第二章~もうひとつの親子の物語~

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  母さんにもいろいろな人が声をかけている。 (どんな気持ちだっただろう?) 葬儀屋との打ち合わせや来弔者への対応。 (母さんだけはそっとして欲しい) そんな思いだった。 だけど喪主としての責任がそれを許さない。 (もしかしたら母さんは今、忙しさを求めていたのかもしれない) ただ責任と忙しさが母さんを動かしているようだ。 (この慌しさが去ったとき、母さんは大丈夫なのか?) 頭にそのことがよぎった。 空はまだまだ青かった。 青空の下、乗り越えるべき哀しみ。 慌ただしい時間が流れる。 いろいろな人達が親父に会いに来る中、やがて、一台の車がやって来た。 ドアがゆっくり開き降りて来る人影たち。
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